鉄道業界で人手不足が課題となる中、JR東日本は外国人の採用に向けた研修を始めました。在留資格を取得したあとには車両などの保守にあたる予定で、人材確保につながるか注目されています。
JR東日本が福島県白河市で始めた研修には、インドネシアとベトナムから25人が参加しました。
この研修は鉄道業界で人手不足が課題となる中、外国人の在留資格「特定技能」に去年、鉄道分野が追加されたことを受けて初めて行われました。
研修生たちはおよそ1か月かけて鉄道の関連知識を習得する予定で、5日は実物大の車両や線路の模型を使いながら、部品の名称や構造、それに点検方法などを学んでいました。
研修生たちは、試験に合格し在留資格を取得すれば、ことし夏ごろからグループ内などで採用される予定です。
ベトナムから訪れた24歳の研修生は「ベトナムでも鉄道が発展してきているのでエンジニアになりたくて来日した。日本で働き、技術を母国に役立てたい」と話してました。
JR東日本は、新年度からはほかの鉄道会社からも研修生を受け入れ、年間100人程度の外国人材を育成する方針です。
JR東日本人財育成ユニットの阪口直之マネージャーは「鉄道事業を維持するため、人材の確保と機械化・省人化を両輪で進める必要がある。研修を通して業界全体の問題を解決していきたい」と話していました。
鉄道 人手不足で運行への影響も
鉄道業界ではすでに一部で人手不足による運行への影響が出始めていて、対策が急務になっています。
このうちJR四国では先月、作業員の確保が難しいとして、夜間や早朝に行っていた線路の保守工事を、普通列車と特急の一部を運休させたうえで日中に実施しました。
運転士不足も深刻で、熊本市などを走る熊本電鉄は、先月から運転士が確保できないことから列車の運行本数をこれまでの4分の3に減らすなど地方を中心にダイヤへの影響も出ています。
政府の推計で、2028年度には国内の鉄道分野で1万8400人程度の人手が不足する見通しです。
こうしたことから政府は去年、専門の技能があると認められた外国人に与えられる在留資格「特定技能」に新たに鉄道分野を追加しました。
政府は2028年度までに最大で3800人の外国人材の受け入れを見込んでいて、鉄道の維持につながるか期待されています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250305/k10014740501000.html